2024/10/08 11:00
日本の自然や農業にとって、外来種が引き起こす問題は深刻です。
その中でも特に注目されているのが、シカ科ホエジカ属に分類される「キョン」です。
中国や台湾が原産地であるキョンが、千葉県や伊豆大島で増加し続ける理由と、それによる影響についてご紹介します。
1. キョンとは?その特徴と原産地
キョンは、シカ科ホエジカ属に属する鹿の一種で、元々の生息地は中国と台湾です。
体が小さく、独特な「ギャー」といった鳴き声を持つことで知られています。
台湾ではキョンの肉が高級食材として人気ですが、日本では異なる問題が発生しています。
2. 日本におけるキョンの拡散と現状
1980年代、千葉県勝浦市の観光施設から逃げ出したキョンが、房総半島に定着し始めました。年を追うごとに個体数が増え続け、平成19年には10,000頭、令和4年には約71,500頭にまで達しています(グラフ参照)。
また、東京都の伊豆大島でも台風による動物園の柵の破損から逃げ出したキョンが野生化し、島内で増加しました。

3. キョンによる被害と課題
キョンの増加により、農作物への被害も深刻化しています。令和4年度には千葉県で約3億円の被害が発生しました。特産品のアシタバを食害することが報告されている伊豆大島でも同様に問題が発生しています。
茨城県でもキョンの目撃が増え始めており、生態系への影響が懸念されています。現在は個体数の抑制を目指した駆除活動が行われていますが、そのスピードが増加に追いついていないのが現状です。
4. キョンの利用価値とあまり利活用が進んでいない理由
台湾ではキョンの肉が高級食材として珍重されていますが、日本ではそのような利用は進んでいません。なぜなら、キョンは「特定外来生物」として指定されており、外に放したり飼育したりすることにより生息域を故意に増やさないためなのです。
しかし、キョンの革は非常にきめ細かく、古くから武具や印伝の素材として使用されてきた歴史があります。特にセーム革は、眼鏡や高級車の拭き取り用として愛用されています。その理由は、繊維が髪の毛の10万分の1の細かさを持つため、繊細な物でも傷をつけずに拭き取れるからです。
5. 日本の外来種対策と今後の課題
千葉県では「県イノシシ・キョン管理対策基本指針」を策定し、キョンの個体数削減を目指した対策を進めていますが、増加のスピードに対して十分な成果を上げることができていません。
外来種としてのキョンの存在は、今後の日本の生態系や農業にとって大きな課題です。地域の協力とさらなる対策が求められています。
日本の自然環境を守るためには、キョンのような外来種への対策が不可欠です。増え続ける個体数に対して、私たちができることは何か、改めて考えるきっかけとなれば幸いです。